著者
日本のマーケター、実業家。株式会社刀代表取締役CEO。元合同会社ユー・エス・ジェイチーフマーケティングオフィサー執行役員。兵庫県伊丹市出身。
経営難に陥っていたユニバーサル・スタジオ・ジャパンや丸亀製麺、ネスタリゾート神戸を立て直した人物として知られ、「日本を代表するマーケター」[1][2][3]とも称されている。
本書の要点
- 要点1 マーケティングとは「選ばれる必然」をつくること
- 要点2 そもそもマーケターとは?
- 要点3「戦略」と戦術の違い
- 要点4 戦略的思考を活用し、「選択と集中」を行う
- 要点5フレームワークをうまく活用する
概要
2015年10月には過去最高の月間175万人を集客し、USJの3倍の商圏人口に陣取る東京ディズニーランドをも超えて、単月ではありますがついに集客数日本一のテーマパークになることもできました。USJはなぜ復活し、大成功をおさめることができたのか? なぜ次から次へと新しいアイデアが出てきて、なぜやることなすこと上手くいくようになったのか? その秘密は、たった1つのことに集約されます。USJは、「マーケティング」を重視する企業になって、劇的に変わったのです。本書はその「マーケティング」に重点を置いて述べられています。
マーケティングとは?
本書で、森岡さんはマーケティングの定義を下記のように述べています。
「商品を売るのは営業の仕事」、「商品を売れるようにする」のはマーケティングの仕事。
つまり自社商品が顧客に、「選ばれる続ける必然」を作れているということです。
マーケターとは?
マーケティングについては理解できたかと思いますが、それではそもそもマーケターとはどういった人のことを言うのでしょうか?
マーケティングの仕事している人をマーケターというのでしょうか?
こちらについても本書で森岡さんは下記のように「マーケター」を定義しています。
マーケティングをできる人のことをマーケターと呼ぶのです。
企業の軍師でもあるマーケターはその戦略的思考を持って、「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」を正しく見極めることが重要です。
戦略と戦術の違いとは?
突然ですが、みなさんはマーケティングでよく使用される「戦略」と「戦術」の違いについてはご存知でしょうか?
本書では森岡さんは「戦略」と「戦術」の違いを下記のように定義しています。
「戦略」とは目的を達成するためのリソースの選択でした。「戦術」は戦略を実行するための具体的なプランのことを指します。戦術は常に戦略の下位概念です。戦略的思考は必ず、「目的→戦略→戦術」と下方展開していきます。目的に直結している上位概念である戦略は、実際には消費者からは見えにくいものなのです。
ビジネスでも戦争でも、実際のドンパチは、この「戦術」の段階です。言い換えれば、消費者が目にするものはほとんど戦術なのです。マーケティングにおいては、消費者の最前線で勝つことが「戦術」の使命であり、これが弱いとどんなに優れた戦略でも実現せず、絵に描いた餅で終わります。目的が達成されることもありません。勝つために戦術は非常に重要です。
つまり、「戦略」とは目的を達成するために最も重要であり、戦略ありきの戦術ということです。
戦略的思考を活用し、「選択と集中」を行う
「戦略」と「戦術」の違いを学んだところで早速マーケティングに必要な戦略的思考について考えていきましょう。